Ground Zero/寒雪
いつも同じ場所を捲るので
擦り切れてぼけてしまったアルバムを
暇さえあれば眺めてる
夏に妻と子供の三人で出かけた海水浴の
真夏の太陽に負けないほどまぶしい
みんなの笑顔
桜が舞い散る下
緊張した面持ちで写真に収まった
息子の入学式
真新しいランドセルが似合わなくて
みんなで笑いあったことが昨日のよう
ページを捲れば
次々とぼくの脳裏に現れては消える
モノクロームな思い出
日常がこんなにも鮮やかに色付いていることに
ぼくに気付かせてくれたのは
アルバムの隅から隅まで
たくさんの風景を見せてくれた妻と息子
このアルバムを眺めるぼくの側に
きみたちがいてくれれば
もっと思い出はきれいに輝いてくれたはずなのに
ぼくの耳には
あの日の地響きが
ぼくの目には
あの日の閃光が
振り払おうにも消えてくれない
巻き込まれるのはいつでも弱者
憎みたくても
相手が大きすぎて
ぼくは誰を憎んだらいいんだろう
戻る 編 削 Point(2)