ゆるやかに/榊 慧
章ですべてを終えたいと思ってもそうはいかない。…こっち側だけで聞こえないように呟いてから二回ほどの深呼吸。しゃべる。話す。/彼ら彼女らがどういう人間だって彼は彼で彼女は彼女だ。/俺には関係ない。/そう思ってやりすごす人の多さに俺はどこに立ってればいいんだとか、いろいろ巡って気持ち悪くなる。カッターナイフマットなんかによくあるあの緑色に似た色をした何か、が、ぐるぐる俺の周りを回って巻いているみたい、指も動かせない、硬直とは違う気もするけど、動かそうと思ったら動かせるっていう意識と動かそうともしない意識、動かさない意識、「死ね」っていう伝達の意識。
回想。
俺も人を殺してみ
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