ゆるやかに/榊 慧
 
緑色の液体に浸かっている。透明のような気もする。濁っているような気もする。深い。着衣のままだ。出たいと思ってすぐに消えてこのまま背泳ぎしたらどんなもんだろうかと少し背中を反らせて足を浮かす。そして俺は背泳ぎを続ける。…こういう夢を繰り返し見るのだ。俺はただもういろいろなことを省いて死にたいと思った。省いて、略して、そのまま死んでしまえればいいのだ。逃げることができるというのは幸せなことで大変に楽なことで、逃げることができない人で且つ耐えられなくなった人、/死/。




教室に入る。あいさつ。もうしゃべるの嫌だ。話すの嫌だ。このまま完結して俺が留まれるならもうどうでもいい。…いくら文章で
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