ブルースカイ(「バード連作集2」)/光冨郁也
冬になり、女の顔をしたバードは飛び去った。わたしは、あの時の車をスクラップにして、海の見渡せる丘に部屋を借りた。情報誌でバイト先を見つけた。倉庫の仕事に就く。朝七時半、精神安定剤を飲んでから、家を出る。伝票に従い、棚にパソコンの部品を入庫する。夜八時半、家に帰り着く。休みの日は浜辺に出て、流木を拾う。
わたしは日曜日、干してある緑の作業着をよけて、ベランダから海を眺めていた。
(今日も流木を拾いに行こう)
わたしは部屋の鍵を閉める。洗いざらしのスニーカーをはいて、外に出る。今日は、空が低い。乾いた舗装道路を渡り、砂地の枯れ草の上を歩く。休みの日は午前十一時から外に出る。西日にな
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