地下街の柔らかなリズム/ブライアン
 
暑い日の地下街、
ジャケットまで着込んだ、汗だらけの中年男性が
足音を立てている。

無数の出口に続く階段を通り過ぎて、
額の汗をぬぐい、隣の同僚に話しかける。

その足音は軽やかで、無駄がない。
踵を引きずるその音まで鮮明に聞こえる。

反響した足音が、
雑踏に消えるまでの間、
天井から差し込まれる日の光が、
彼の体を熱する。

改札口、
彼を飲み込む人ごみがやってくる。
彼はその間をすり抜ける。
額の汗をぬぐう。

人ごみもまた、
足音を立てる。無数の、柔らかなリズム。
脱水症状気味のリズム。

目の前の大きな改札口。
彼の買った切符は、惰性に
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