水のテーゼ/umineko
 
久しぶりに区民プールに行く。全然気づかなかったが、この街にはあちこちにプールがあるんだよね。そんなにニーズがあるんかしら。プール。

水泳にはあまりいい思い出はない。中学の授業ではおぼれかけた。高校の遠泳でも遭難寸前だった。そこまで好き、といった類いのものではない。水が、基本的に駄目なのだ。身構える。すると水は他人になる。

25メートルを一往復して、なんとかおぼれずに行けることがわかってほっとする。(じゃあちょっと、タイムとか意識しちゃう?)こうやってすぐ調子に乗るのが私の真骨頂。

すると。とたんに水が意地悪になる。スピードを出したいと、私はもがく。水は壁になり、私をあざ笑う。

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