書かれた?母(2010年参稿)/非在の虹
母は 捨てる
真昼に閉じた雨空へ捨てる
滑空する白色の鳥が堕ちる所
そこに堕ちる母のものを捨てる
湿地帯に隠された 母の書いたもの
そこに堕ちる母のものを捨てる
滑空する白色の鳥が堕ちる所
真昼に閉じた雨空へ捨てる
母は 捨てる
*
母は 捨てる
母を 捨てる
*
子どもは母と眠った。
深夜、不在の父の声が聞こえた。
それはおそらく父の怒る声だ。
と子どもは考えている。
子どもは母のベッドの下だ。
大好きなおやつはそこで食べるのが習慣になっていた。
ベッドが軟化した。
「上は大水 下は大火事 なあに」
子どもがつぶやくと
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