note.1-貝殻を見つけて/黒木みーあ
、
砂を、一握り掴んでから波で洗うと、
手のひらに残った白色の小石が、沈んでいく陽の光に反射してきらきらと瞬いていた。
視界の端で、黒い影が二羽飛び立って夕陽とは反対方向へ向かっていく。
足元を見ればわたしは裸足のままで、靴の置き場所を、もと来た場所を忘れてしまっていた。
二羽の背中はどんどんと小さくなって、頭上付近では群青色の空に、夜が触れ辺りを紫色に染めていた。
少し、ゆびさきが痛んだ。貝殻の先が、欠けてしまっていたから、
波の中に落としてももう、さっきよりも薄暗くて、何も見えなかった。
(( また会おうねって言えないから、だからさようなら、また明日って
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