note.1-貝殻を見つけて/黒木みーあ
光が揺れる。遠くの積乱雲の白色が空の青色を半分以上覆って、数羽いたうちのカモメがまた一羽減っている。残りのカモメは、雲の白と同化しそうな距離で浮いたまま、
わたしはどんどんと海の方へ歩いている。つめたい。あたたかいが一緒になって、からだを包んでいく。段々と重みをなくして、カモメを見つめている。カモメはずっと浮いている。背後には積乱雲が迫っていて、まばたきの一瞬に消えてしまいそうなほど空は白くなっていく。このまま、わたしもカモメのように浮いていたいと思っていた。
けれどつめたいも、あたたかいも、胸元までくるころにはぜんぶ、なくなってしまっていた。
(( 波が大きく寄せて膝を濡らしたから
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