辻褄/プテラノドン
朝、目覚めると家中クモの巣だらけ、湯気が立っているものもあれば
冷気を発しているものもある。つまり、部屋の中は煙が立ち込めていて、
まともに息も吸えやしない。気が狂いそうだ。おまけに、クモの巣の多くには
読むにたえない罵詈雑言のメモ書きに始まり、呪術めいたレシピの数々、
(ご丁寧にその効果まで記されている)中には聖人ぶった詩の一節もあり、
油絵も引っ掛かっていた。それに関して、額縁としては最低だったが
作品としてみるなら悪くなかった。何故なら、そこに描かれていた時計の
針がさす時刻が、僕の生まれた時刻と同時刻だったからだ。
僕は三十年間を振り返った。冷静と情熱の狭間で揺れていたの
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