廃退、わたし/百瀬朝子
 
た戸惑いと
不条理に包まれながら
安住という言葉を辞書で引きます
どうか答えは―此処―でありますようにと
踏みにじられても
願いは止まないのです

そう、
この鼓膜を揺らすのは
みんなの秘め事です

切なさに押し倒されても
安心して眠っていい
あとは消滅するだけです

  振り返ってできる足跡は
  濡れた土に刻まれたまま
  枯渇した大地に残る
  私は舐めて確かめたい
  カラカラに乾いた心に
  バクテリアを放ちたい
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