みなしごとライオン/麻生ゆり
その子どもには親がいなかった
そのライオンには子どもがいなかった
1人と1匹の目的は1つだった
そして彼らはともに出会った
寂しさは他者がいて初めて感じるもの
両者は初めてそのことに気づく
これまで孤独感という不確かなものが
1人と1匹は
その存在が本当にあることを学んだ
みなしごは母を求めて泣き
ライオンは子を求めて鳴く
彼らはお互いをずっと探していたことを知った
そしてこの出会いが偶然ではなく必然だったことも
いくら人が世界最強の生物だって
いくらライオンが百獣の王だって
独りでは
何もできないのだ
1人と1匹はお互い
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