子宮/
麻生ゆり
なんて
今思えばなんて簡単なことだったのかしら
あなたのあられもなくうわずった声が
今でも耳に残っている
だけどあなたは風になった
不確かな私にとどまるらず
確かな場所で吹く風になった
あれだけ激しく私の身体を撫でまわしていったのに
もう風(あなた)の香りは忘れてしまったわ
気づけば霧雨は雫になり始めた
私は傘を差すことなく
無慈悲に降りゆく雨の痛みを
ずっともっと感じていたかった
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