雨の残りもの/真島正人
{引用=
6月の雨が
まだどこかに残っていて
それが7月の終わりになっても
降り注いでいる
一月以上寝かせたからだろう
いらないものがたくさん混じってる
人間の気持ちに置き換えたら
それは怒り
悲しみ
ぐずつき
喜び
ねたみ
いいや
そんなのでは表現できないね
なんとなく不安が
よみがえってきて
君のそばでは猫が
眠っていて
すべてはこんなにも単純なんだって
歌っている
寝言で
昨日バスに乗ったとき
読みかけの本をカバンに入れるのを
忘れていて
しまったなと思った
窓ガラスから見える景色は
文字よりも晴れ渡って
濁っていて
潔癖
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