返詩 雨 (2004.10.12)/和泉 輪
質の中に量があり
落下の中に流れがある
無数にまとまる一つ
雨と呼ばれるものの名
儀式のように繰り返され
思い出された最初の音
絶えず動きながら
点在する光を導き
生かしてゆく雨の手
遠く緑の向こうでは
澄んだ灰が降り積もり
青鋼玉の眼を持つ鳥が
その上を飛び去ってゆく
輪花は立ち枯れたまま咲き
色の別れを待っている
何かの知らせのように
訪れる湿った匂い
あやとりを止めたまま
空を見上げる少女と男
そのようなときにも
あの雨は歌われているか
全ては満たされるように
両の手は結ばれるように
一滴の水から始まり
一滴の水で終わると
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