7/26/小原あき
かったけど
そこにはきっと
いるんだと思った
僕は手を合わせた
ずっとずっと
したかったことだった
お父ちゃんの匂いが
どこかにしないか
いつものとおりに
辺りを嗅いでみたけれど
鼻が鈍くて
匂いはしなかった
それとも
それが一年という時の
長さかもしれなかった
僕は少し泣いた
本当はうんと泣きたかった
そして
もっと早くに
泣いてしまいたかった
みんみん蝉が泣いている中で
お布団に横たわってるお父ちゃんを
みんなが囲んで泣いている
その中で
美味しそうな匂いで
僕は目が覚めた
ご飯の時間
ぐうぐう鳴っている
お腹を抱えて
僕は走った
いつものご飯
だけど
少ししょっぱかった
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