くさびになる夜/
あぐり
頼みもしないのに
勝手に海がおちてきた
視界を珊瑚の乾ききった死骸が舞う
粉塵に咳き込みはしないか。
勝手におちてきた海にいる
暗く冷たいそのなかで
ぼうっと浮かび上がるわたしの肉体
ぬくもりは、(あるのか)
くるぶしをかすめていくかたまりをどうか、
きみだと信じてよいと発せよ。
わたしはいまから
きみのくさびになる
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