精算/プテラノドン
そことは別の片田舎で雨が降りだした。
通りをかけ足で横切る者たちのせわしない足音から外れて
一人の女性がこちらへやってきた。僕はドアを開けて彼女を雨宿りさせた。
このまま雨が止まなきゃいいのに、と思った。雨の勢いは強まる一方だ。
コインパーキングに残る一台の車。車内に充満する煙草の煙。そのとき
僕らが何をしていたのか、ぜひとも想像して欲しい。手を振っていたのか、
聞いたこともない言語を口にしていたのか、遠ざかるエンジン音は雨に
かき消されていく。
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