精算/プテラノドン
コインパーキングから出ようと精算したら、隣に止めていた車の
料金を払ってしまった。めげずに、もう一度コインを投入すると今度は
そのまた隣の―といった具合で、運転手たちはさまざまな母国語で、
ありがとうとかさよならと言って去って行き、覚えた言語から逆算すると、
ゆうに百台分は払ったことになる。その事で、僕くはいくらか
賢くなれたのかもしれないが、脱出する手立ては一向に見つからなかった。
そんな姿を(オフィスから)眺めていたのか、目の前のビル入口から
老人が現れ、心配や親切心とは無縁といった様子の命令口調でまくし立てた。
僕は素直にそれに従い、看板に記されていた番号に電話すると、すぐ
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