手紙/「ま」の字
 
 突然だが、自分の居るのはいつも辺地だ。と、最近あらためて思った。君はどう思う。数百年の歴史を持つ、世界有数の人口稠密地に暮らす君には、ちょっと迷惑な話かな。
 各自にとっての中心は各自自身だとすると、いつも辺地にいる僕の場合、世の中心は辺地ということになる。「端っこ(辺地)が中心」なんて、文章にしてみるとなんとも変テコだね。
 けれども、世の中心が辺地である、というこの観念が、理屈の正否はともかく、僕の感覚にしっくり来て非常なこと驚くばかりだ。しっくり来るばかりでない。新鮮なんだ。風とおしがいい。
 茫々と枯れ草震える荒れ地や、よく茂った草はらの波うつ七月の丘陵。人なんざ居ない。どこか行っ
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