遠山/「ま」の字
ルビ名分=わけ}もない
この生成と消滅は病みもせず
たまたま此処この時刻に有るだけという
さびしく
砂礫の辺土(はし)まで伝わりゆくよそよそしさよ
寒気はつのり
沼のないこの地独特の風景に
黄昏が徐々に現れている
あちこち
散在するものはあっても
ひっそりとして 声もない
(こちらの端もあちらの端も、夢に属する。
こちらの端もあちらの端も、その中も。)
裸木の枝ひろがるこの地から
いったい何をみいだすべきなのか
約束もなく
待たれてもいない
細く
意味なく勁い
この影
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