遠山/「ま」の字
︱淡々(あわあわ)と、それはとおく
ほうほう
紅いろ帯びた西域は灼け
あれは記憶に薄れゆく
旺盛なる高温期の名残りか
あるいはまた
時の境(けじめ)なき海上に冷却せらるる
専制のかたちか。
ここに、ひとりあることに対し
はるか浮かび在るものの
なんとつめたく
またかすかに懐かしくあるいはむなしく
・・・・・・・
あの
灼けある雲の下に
暖々たる曖気に傾ぐ茅葺きの家なく
夏に
子らが河貝採るたび投げあげては
かちと突き当てあった笑いごえもない
不器用な精神は観念を維持できず
また維持する{ルビ
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