るる/寒雪
冬でも雪が降らない
そんな暖かい僕の家でも
おまえは寒そうに
ストーブの前で丸くなる
背筋に稲妻の閃光が走るような
艶光りするおまえの
ビロードを思わせる黒い体毛
思わず心を奪われながら
手を伸ばして静かに撫でる
おまえの睡眠を邪魔せぬように
初めて出会ったのは
季節外れの雨が降る
一年前の寒い冬
あの時
膝の高さにも届かない大きさで
懸命にごはんをねだるおまえ
そのかわいさに
僕は与えられる限りの愛情を
おまえは
毛の色とか
体の大きさとか
顔つきの良し悪しとか
そんなことは気にも留めないで
いつでも気まぐれに振舞うのだろう
その潔さに
僕は改めてきみを
この腕に抱きしめた
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