音/寒雪
 

ある雪の降る夜
ぼくは泣きじゃくる彼女を
部屋に招き入れた
長い間外で立ち尽くしていた彼女は
雪女のように冷たくて
そんな彼女の愛しさを力一杯抱きしめ
互いの体温で体を温めあいながら
濃密な一晩を過ごした
その時
確かにぼくは
耳の奥底で
八年前の
乾いた皮が破裂するような音を
再び聞いた


親友との別れの朝
晴れやかな笑顔でぼくと言葉を交わす彼を
ぼくは苦々しさを噛み潰しながら笑顔を返した
立ち去っていく背姿を見つめながら
八年前の友達も
今のぼくと同じ気持ちなのだろうか
ふとそんなことを考えた
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