私なりの夏/朧月
黒の陰から
太陽の中へ出てゆこうとするなら
透明なゲートをくぐらねばならないよ
どんな不正直者でもくぐることはできるけど
ああ
真っ白な雲の中に
一筋の黒をみつけて安心する
海のないこの街にあって
なぜか風は潮の香りを運ぶ
胸は高鳴る それが夏か
棒つきのアイス ななめの帽子
目に夏を探して
あの時を探して
夏の自分を探して
あなたの指が長く伸びて
私の両の耳から深く進入してほしい
無理矢理にわかりあおう
流れる汗はやがて
カラダを冷やすとしても
夏の気体は
きっとなにかをはじめてくれる
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