潮と月と人間と/瑠王
 
私がとても遠いのだと思っていた人は
すぐ目の前にありました
なぜならその人は海だったのです

必要とあれば向こうから
そうでなければひいていきます
私がどんなに駿足でも
どれだけ望みを握りしめても
かのお月様の気分次第で
その人は地平線の彼方に消え

忘れた頃に少し沁みる痛みをもって
私の足を濡らします


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