ね/小川 葉
 
 
 
「ね」から
「ね」をとると
なんにもなくなってしまうから
かみさまは
「こ」をあたえて
そのどうぶつを
「ねこ」となづけた

「ね」がなくても
「こ」がのこる

もともとねなしぐさの
そのどうぶつが
おとなにならないのは
そのためだ

ところであのひよろひょろと
くうにのびる
あのしっぽが
「ね」なのではないか

ときどき
わたしのひざにねをはって
クレオメの花を
咲かせている
 
 
戻る   Point(3)