「記憶」/ベンジャミン
 
ここではいつも
少しずつ違う絵が描かれている

だから
少しずつ違うことを忘れてしまう

垂れ流した絵の具が
しがみつくようにして
一つの記憶になる

曖昧な残像に縁取られて
一枚の絵になろうとする

そして
そんな一枚ずつを
きれいに貼りあわせてゆくと

それは
現実よりも鮮明に思えてしまう

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