浸透/寒雪
 


自分の周囲で起こる物事に
興味のアンテナを向けようとしない
それがおまえの言う自由
だが
気にかけようがかけまいが
おまえのすぐ後ろで
おまえの自由を食いつぶす
なにがが蠢いている


少しくらいなら
足の先を食べられてもいい
それがおまえの妥協
だが
次のターゲットは
おまえの膝小僧
おまえのすぐ足元には
絡め取られれば
二度と戻れないなにかが
口を開いて待ち構えている


いつまで
聴こえないふりをするのか
見えないふりをするのか


声をあげろ
小さい声では
隣の住人にさえ聴こえないかもしれない
だが
なにも言わなければ
永遠におまえは存在を否定されるだけ
蠢くなにかに奪われたものを
じわりじわりと
取り返すために
体制に浸透するんだ
いつか自分たちの声を
世界中に届けるために

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