「 傘をさして 」/
椎名
降り続く雨に
けむる街角
傘の花が行き交う
仕事帰り家路を急ぐ人
誰かと待ち合わせに向かう人
浮ついたあしどりと
疲れたあしどり
それぞれの想い抱え
足早に通り過ぎる
明日という日を
誰も約束してくれたわけではないけれど
明日は晴れるといいな
なんて思いながら
何も語らない雨が
静かに街を濡らしてゆく
夜の雨の街は
光が反射して綺麗だ
このきらめきを抱いて
私も家に帰ろう
あの電車に乗って
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