『過夏幻影』 より抜粋 (二十句)/ま のすけ
 
赤とんぼ

 流灯ぽつん水の匂ひの遠ざかる

 モルタルのはげかかる白(しろ)すでの秋

 出囃子の漏れ来るビルや鰯雲

 ひは色に鶸(ひは)鳴き暮れて胸に風

 寂寥の風ととのへて秋茜(アキアカネ)

 獣道(けものみち)地図に探して九月入る





    初出は、五年くらい前ですかね。
    ある俳句の賞に提出した作品からの抜粋です。
    現フォ用に、読み易くするため、
    「拗音の表記」と「ルビ」を一部正しました。
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