わたしたちは星屑の地平に眠る/黒木みーあ
 
ばかり見つめて、ねぇほら星が降り始めているよ。もうすぐ、そこここで朝が湧き上がってしまうよ。カエル、あなたの瞳の輪郭は、いつもとても、美しいね。

カエルはずっと、何も言わない。わたしもずっと、ほんとうは初めから何も言っていなかった。ずっとわたしは、カエルを見つめていた。見つめていた。カエル、まだ朝は来ていないよ。カエル。きっと目が覚めてもまだ、星は眠ったままで、カエル、あなたはわたしの隣で、どこまでも続く夜の底でまた、待っていると、そう呟いて。カエル、きっとまたここで、あなたとふたり星たちの瞬きの中、わたしは少しだけ、眠りについて、カエル。愛してる。あなたの肌の温かさに触れているわたしの温かさをあなたの肌に眠る長い歳月にどうか、刻み付けていてほしい。


 *


風が吹く。
細く透明な糸を辿って、伝わる声に、時間はいつまでも流れない。
わたしは眠ることができないでいる。
もう、ずっと、どこでもないこの場所で。




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