飛んでいく家の話/瑠王
 
外は今日も騒がしい
豊かな自然
沢山の人間と沢山の生き物
私は今日も窓からその変容を眺めている
それはもう毎日のように

この窓辺から遠くへ臨むことだってある
窓越しに映画を見に行ったり
家ごと音楽の真ん中へ出向いたりもする
親しい友人の家の横へ飛んでいって
そんな時には窓を開けて挨拶をする
せせらぎが必要な時には
川沿いに何か月も居座ったりもする
窓辺に椅子を持ってきて
一日中そこで本を読む
とっておきのラムを少しだけ味あう

気づいたら知らない場所だったこともある
そんな時はカーテンを閉めて
少しだけ寝たふりをする
すると誰かが戸を叩いて
過ぎ去ったことを伝えに来る
それは時々、手紙だったりもする

私は今日も窓からその変容を眺めている
家の中は昔から変わらない
ただ窓辺に飾られる花を除いては

新しい花を必要とする時にだけ
私は戸をあけて自分の手で摘みにいく

外は今日も騒がしい
豊かな自然
沢山の人間と沢山の生き物
それはもう毎日のように

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