七夕祭/明楽
 
け隔てなく全て叶えるので、貧富の差はいつまでもなくならない。


七、

願う力を自分で叶える力にすればいいと星は提案したが、人類は満場一致で却下した。



「七夕の出来事」

一、

人々の願いを叶える準備が整った星から順に、地球へ向かいはじめている。


二、

一向に願いが叶わないので、星に訊ねると「担当の星が違います」と散々たらい回しにされた挙句に「今年の受付時間は終了しました」と追い返された。


三、

世界平和を星に願うと、各国の軍事施設に次々と隕石が落下しているというニュース速報が流れた。


四、

自立心溢れる子供の「願いは自分で叶えるものだ」という力強い叫びを聞いて、星は存在意義が揺らぎ輝きが弱まった。


五、

願いを叶えるのが億劫になった星は、瞬くことを辞めてしまった。


六、

笹いっぱいに「さようなら」をしたためた短冊をつるして、天の川へ飛び込む。


七、

何も願わず、ただ純粋に星空を眺めている人のために星は輝きを増した。
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