ほし文月/小池房枝
ここは雲の真底すずしい風が吹くじきに全てが雪崩れ落ちて来る
夕映えのお天気雨が東方の空高く架けた主虹副虹
緑から朱へまた赤からまた青へ 光と水のクロマトグラフィー
美しい挿絵のゲーテの「メルヒェン」の蛇の化身のごとき大虹
夕方の一番混んでるスーパーで働くおじさん虹を見ていた
「オーバーザレインボウだね久しぶりだ」駐車場誘導係員さん
幽霊じゃなくて二本の足がある虹 屋上にしっかり立ってた
幾重にも重ねた気流の層ごとに細波を描く夏の薄雲
ばら色のあの雲どこから来たのだろう天気図ひろげて源を探す
日蝕を済ませた空はほっとしてまた改めてざばざば降
[次のページ]
[グループ]
戻る 編 削 Point(3)