ほし文月/小池房枝
 
ここは雲の真底すずしい風が吹くじきに全てが雪崩れ落ちて来る

夕映えのお天気雨が東方の空高く架けた主虹副虹

緑から朱へまた赤からまた青へ 光と水のクロマトグラフィー

美しい挿絵のゲーテの「メルヒェン」の蛇の化身のごとき大虹
 
夕方の一番混んでるスーパーで働くおじさん虹を見ていた

「オーバーザレインボウだね久しぶりだ」駐車場誘導係員さん

幽霊じゃなくて二本の足がある虹 屋上にしっかり立ってた


幾重にも重ねた気流の層ごとに細波を描く夏の薄雲

ばら色のあの雲どこから来たのだろう天気図ひろげて源を探す

日蝕を済ませた空はほっとしてまた改めてざばざば降
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