夜明けるクラクション/水川史生
 
れで、それが、愛の証明になりえたかもしれなかっただろうに。
響いている旋律、フォルテッシモのノイズ、ノイズ、ノイズ、ノイズ、有り触れない環状線をめぐりめぐりめぐる紫煙。肺を犯す何百万の灯。
ルーザー、居場所を失くしたままでグラスをたたき割る。悲しいほどの排除はこうしてまた一人の人間を暗闇に突き落とす。這いあがれないジオラマ、暴力に似た派生、アンダンテから展開される緻密な形状が傘をさす。腫れあがるあの傷痕をプラスチックで。みえないでしょう。何も。飛ぶ。飛ぶ。飛ぶ。数えることもままならない。ああ。
生まれることを忘れた星がそのまま朽ちて誰にも語られないままで消失を遂げる。穏やかな終焉であれ
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