girl friend/天野茂典
 
もがみない
 断絶されたことばの進路
 飲みたいよう
 叫びたいよう
 いつでも死んだ魂は潔癖でいられるのだ
 いつでも生きてる魂は汚れているのだ
 死者を美化しているわけじゃない
 生きてるものを罵るわけでもちっともない
 もう明かりがついて
 暗くなった
 (曽根崎心中*
 赤い糸で結ばれた
 女の水路
 バスは山のなかの終点に
 ぼくひとりを下ろして消えた
 ちいさなバスターミナル
 落ち葉のように
 ここにも少しの女子大生
 赤い糸で結ばれた
 (絵馬を求めて
 彼女らの夕餉は
 アパートで秋刀魚を焼くにちがいない

 燃えよ 秋刀魚  
 (あとがない



        *近松門左衛門 
        2004・10・12
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