ありふれた雨の日/itukamitaniji
ありふれた雨の日
今朝は雨が降っているから 電車が遅れるかもって
傘を握って 慌てて走って道を急いだんだ
いつもの交差点は まるでたくさんの花が
水を滴らせながら 咲いているみたいに見えた
*
ホームはまるで戦場 車内はまるで押し競饅頭
それはまるで この世界の縮図みたいに
誰もが自分の存在を 守るように踏ん張って
それに負けじと 毎日僕も抵抗するんだ
*
道端に置かれた段ボール 中から子猫が顔を出す
可愛がってやってください 書くなら捨てるなよと
雨に震える小さな姿に ちょっと心が痛んで
さしていた傘を 差し出してあげたのだった
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