美しいあごのラインを辿ると
鼻の奥でなにか、貴いものが焼け焦げていく
寺院や木像が煙をあげている
そういうものがねばついている
ひどく深みにあるものが
私の皮膚へと浮き出てくる
重力をねじ曲げる凶暴なうつくしさ
それは刹那的な、しかしだれかが切り取った
どこかへ走り去ってしまうものを、
ことばで以てすこしでもここへ留めておけるのではないかと
うまく処理することができるのではないかと
あるいは虚像の、さらに虚像でも、此方へ、
私はその向こうのひとを「うつくしい」と言う
これがただ、じかに声に出来る敬意です