はかるべきではない深さと高さのメモメモ/七尾きよし
いく土嚢に詰まった妄想たちがひゅうひゅう音をたてて奈落の底へと飛んでいく。毎日のお決まりの作業が遂行されることを観察し、また時にはより能率的な方法について意見を述べる第三者然とした者がいる。自らの行為を客観視することなく主体としての自覚をもって行為と一体化するよりも。海苔瓶の中であくせく巣づくりを続けるアリたちの生きざまを面白がって観察することにも慣れて半分ほったらかしにしているようでいて、一日に何度かは覗きこんでにやけることを忘れないような有様のほうが幾分か滑稽さにおいて増している。笑いころげるようなおかしさではなくて、失笑を誘うようでいて半分同情の眼差しで見守られているような、そんな空気感の中で物語は増殖していく。
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