はかるべきではない深さと高さのメモメモ/七尾きよし
現実の人生の物語との隔たりは日に日に増していくんだけども、湧きあがってくる妄想はただ湧きあがるために誕生し、そして消えていくものでしかないのだけれども、その残滓は前頭葉の隅っこに確実に積み上げられていく。断片と断片が重なり合っていつの間にか結合し、何か形をなしていく。いびつなちぎれちぎれに積み重なっていったものたちはその初めから終わりまでひたすらいびつな妄想を代弁するための身体を獲得するために前頭葉の一隅に寄生するのだ。寄生虫のように妄想は日に日に成長していくのだった。埋め合わせようのない決して越えることのできない現実と妄想の間にある断崖は日に日に深さを増し、それと比例するように積み上げられていく
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