水色の車輪/佐野権太
明るい空から
さわさわと緑の雨が降るから
おまえの誕生日は
いつも濡れている
水色の
ローラーブレード
畳の上で
肘あてや膝あての
具合を確かめている
それは
おまえを守るための
(あれから
(十年たつんだな
きっと
しがみつくんだろう
いいよ
手を引いてやる
歩き始めの頃みたいに
(あっという間だ
(ふさぎこんでいても
(わらっていても
(それなら
少し前屈みで
遠くを見るといい
雨あがりの風
転がってゆく車輪
静かに胸をひらく
空、七月
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