水色の車輪/佐野権太
 
明るい空から
さわさわと緑の雨が降るから
おまえの誕生日は
いつも濡れている

水色の
ローラーブレード
畳の上で
肘あてや膝あての
具合を確かめている
それは
おまえを守るための

(あれから
(十年たつんだな

きっと
しがみつくんだろう
いいよ
手を引いてやる
歩き始めの頃みたいに

(あっという間だ
(ふさぎこんでいても
(わらっていても
(それなら

少し前屈みで
遠くを見るといい

雨あがりの風
転がってゆく車輪
静かに胸をひらく
空、七月
 
 
 
 
 





戻る   Point(21)