駅で分別されずに捨てられたゴミのエピソード/プテラノドン
うでもいい。
昨日の朝、駅前で施設に向かうバスを待つ少年が
空を飛ぶ飛行機のシルエット(正確にはその音だ)に向かって
何度も手を叩いて合図している姿を見て、今日はえらく上機嫌だなと、
吉川さんは言った。他のタクシーの運転手達も僕も皆、
眩しそうに空を見上げて上機嫌に笑ってた。一番笑っていたのは、
自転車で毎朝ロータリーにやってくる白髪のおじさんで、その人は、
当時この辺りでは珍しく野球推薦で大学へ行ったものの、
試合中にボールが頭に当たったことが原因で、大学も、野球も
辞めることになった経歴の持ち主だった。彼が口にすることといえば
死んだ兄についてだった。その際、一つの約束
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