落鳥/水川史生
 
落ちてくる、 
展開されるいくつもにさよなら 
穿たれる風景にひとかけらの曇り 風花 
散ってはまたくゆらされるのでしょう 
ティーヴィーで嘆く人の流れに 
真っ逆様に落ちてくる鳥の影が 
その空を暗く眩くするでしょう 
もうそのままで好いんだから、 
二つ分の呼吸 ガラスの体温 溢れてくる吐息 
伏せられる額に遭わされる点灯 
何にもなかったでしょう 甘さにかき消されている 
(憂鬱にないた) 
(落ちたのはあの鳥の) 
(暮れてはもがくこともせずに) 
(ないた) 
(ないた) 
僅かに収束されるのなら戻ることのないように 
反転するその遠さの
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