tabula rasa/ひち
 
私はもとから煤けていて
精々清書の下書程度
落書きされるくらいが精一杯で
誰が燃やせど棄てないことがあるんだろう
あんたの言うこと何一つ噛めやしない
たかがザラ紙には無理な話だったんだ
直ぐに滲んで穴が開く
私はとっとと駄目になって
教卓は受けきれなかったインクで汚れている

あんたは好い人って軽く言う
紙コップに溜まった薄い情を飲み干すのを私は見ている
ワンコインでお釣りがくるそれで
どれだけの耳を掴んでいられる
潰れた紙コップでいくつ屑籠を満たせば
あいつらの眼を逸らすことができる
軽い財布でできることなら易いものだ
重さを知らない口から出る慰めなら安いものだ
知ったかぶって歩いていける
壇上で嘘を吐くなとホラ吹きが唱う
笑いを忍ばせてみんなが頷く
みんなが本音を知っている
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