独奏/水川史生
落ちる飛翔を抱きしめている
遠景、クラシックのレコードの一室、朝を迎えない夜
果てまでのカウントダウンの抵抗を
爪弾かれる黒白と、久しく鮮やかに染まりたいと願う君の
底を知らず 墜落、透明に濡れる言葉と、
アクリルで色を付けた悲しみに浮いている
眩み続く 月並み、レトリック、音楽の産声を
あれが、君であったか
唐突から音飛びする暮れの日
薄暮、君が浸かる傘下の、白くあえかな腕を
引き上げるための音律を持たないスコアが、
散りひさぐ雨から滲む 光陰を
「されば、詩のためと言った君の優しさも」
すべてが美しいリズムでスピードで君を撫でますようにと
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