道化/寒雪
明るい陽光が
地平線に飲み込まれていく
闇に覆われた夜の帳を
月の光が照らし出す
それは
どこまでいこうと
いつまでたとうと
彼の物ではなく
彼は浮かび上がった道化者にすぎず
太陽の力を悪戯に誇示するしかなく
弱々しさが
彼の精一杯の抵抗に思える
彼は考える
自らの体を輝かせられれば
太陽にこびることなく
世界を我が掌中に出来ると
世界の覇者たらんと欲した
しかし
彼は光を放とうとして破裂した
爆発が一瞬
地上を昼間のように赤く染めた
それは徒花
かれのためのレクイエム
光が閉ざされてのち
地上には真の闇が
我が物顔でのさばり出す
人々は
暗闇の恐怖におののき
月の愚かさを呪った
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