イン・ザ・キッチン/水川史生
 
プーンを
 目の前にして 目眩む僕らだ
 スライドされる憂鬱性を 紫のインキで染めて
 触れて欲しい 今 静かな動脈で
 歪でも冷たく皿に緊張した手首を
 飴のような その歯で
 食んで欲しい ───)

ミルクと共に沸点を超えた甘やかな相関に
叙情に迫るパスタが茹だっている
有毒性に注ぐ 僕の涙をそのままにして
疑わずにこぼれ溢れる水を 頬を伝って含んでくれ
きらきら光るナパージュで覆う 弛む皮膜を模して

解けて飽和する君
目視された 滲み出す僕がゆるやかにシンクを流れてゆく
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