対峙/
豊島ケイトウ
何の価値もないゲテモノだ
発狂した巨人のような雷鳴を恐れたのはいつだったか
私は山と対峙しているが
私は山を見るのを忘れた私は山を愛でているが
私は山を欲するのにうんざりしている
(老いさらばえた魂なんかくれてやる
そのかわり足枷を取っ払いあくびとともに伸びをして
自分さえ予期しないほどの快哉を叫べ
村全体を襲った記憶を思い起こしながら
激情――そうだろ、そうだと言ってくれ!)
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