胃痛/榊 慧
リンゴ酢のみたいんだよ。
ことのほか響く声にびっくりしながら残っていたもう一人のクラスメイトを見やる。彼は恨めしそうにこちらを見ている。「ありそうでないな。」「ありそうですらないよ。」机の中に適当にほうりこんでおいたイディオムのプリントを「全部すてんの?」、全部すてるよ、うん。「だってこれ全部俺が入院してた間のやつだろ。」「やれよ」「やだよだってところどころ無いんだしふざけてるよね」「何処が」「……もしもし、」電話をかける。俺は彼を馬鹿だと思っている。ああ眠い。
外が明るい。五時?
俺は汗を不快に思いつつ掛け布団を畳む。また同じだったとかそういうことを考えながら下の階へ降りる。生えて
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